まだ、何も成し遂げていない:甲府対湘南@小瀬(2009年11月21日)

 さて、21日に小瀬陸上競技場で行われたJ2リーグ公式戦第49節、ヴァンフォーレ甲府対湘南ベルマーレの試合の感想、…みたいなもの。

 湘南のスタメンは、GK野澤洋輔、DF臼井幸平、ジャーン、村松大輔、島村毅、MF田村雄三、寺川能人、坂本紘司、FWアジエル、田原豊、中村祐也。リザーブは、GK植村慶、DF阪田章裕、MF永田亮太、FWリンコン、阿部吉朗。新婚の山口貴弘がベンチにも居ないことを除けば、ここ最近の“何時ものメンバー”と言える。

 前半の立ち上がり、ジャーンのクリアミスからペースは甲府のものとなった。“3トップのスペシャリスト”らしく、果敢に湘南ゴールに迫ってくる。しかし、湘南のディフェンスが堪えて、ゴールは割らせない。そして、一発、カウンターからシュートまで持っていくと、今度は湘南がペースを握るようになった。この時間帯で湘南は、2点を取る。最初が6分。カウンターから田原が中央でボールをキープして左にサイドに流す。そこに中村祐也が抜け出して左足で上手くゴールに流し込んだ。次は、10分。直前のプレーの記憶は怪しくなってしまったが、中央でアジエルがボールを受け、それを右に流した。そこに臼井が走りこんで豪快にゴールにボールを叩き込んだ。ジャーン先生のクリアミスから驚くほどペースを渡してしまったチームとは思えないほど、あっさりと2点を先制してしまった。

 ここから怖いのが、“2点差による悪魔のサイクル”に陥ること。お互いに「勝たなければならない試合」と位置づけられているため、リードした方は「まずは無失点」と考えるようになってしまう。そこに“追う者の強み”も出てしまい、追い付かれ逆転されてしまうことも多々ある。「変わらぬ気持ちで3点目を狙えるか」とスタンドから見ていて思っていたが、やはり、それは無理だったようだ。直後から急におかしくなることはなかったが、徐々にペースが甲府へと移り、1点を取られる。25分、甲府が右サイドからクロスを上げる。それを、ジャーン先生が空振り。ボールが金信泳に渡る。それを金が冷静に決めた。「甲府は勢いづき、湘南はおかしくなっていくか」と思ったが、そこまでは行かず、前半は1‐2で折り返した。

 試合全般について言えることにもなるのだが、この日はお互いのディフェンスがおかしくなっていた。理由としては、「負けられない試合」があると思われる。「負けたくない」と考えたとき、ディフェンダーは「点を取られたくない」と考えてしまうようだ。それが出足の遅れを呼びボールがカットできなかったり、大事に行き過ぎてクリアミスを誘ったりした。普通は、攻めるに攻めたが攻めきれず、やがて、相手にペースが行くのだが、この日はディフェンスが怪しい動きを見せるので、あっと言う間に相手にペースが言ってしまう。あれほど、めまぐるしくペースが入れ替わるのは見たことが無かった。お互いに平常心ではいられないとは思っていたが、分かりやすく、気合が空回りしていた。

 後半も、その点は変わらなかったと思う。しかし、ホームである甲府が前に出てきて猛攻を仕掛けてきた。流れの変わったとき、それがより強く表れるのは、やはり、ホームの甲府。湘南のサポーターも多数駆けつけたが、数は圧倒的に甲府サポーターの方が多い。少しのチャンスでも地鳴りのような歓声が上がる。徐々に、ペースは甲府のものへとなる。そして、その声に押されたかのように、甲府に同点弾が生まれる。17分、ペナルティエリア右サイドに甲府の選手が侵入し、それを湘南の選手が倒してしまう。遠い側での出来事だったので、誰が倒され、誰が倒したのかが分からなかったが、審判の判定はPK。マラニョンがこれを決めて同点となった。どう考えても、湘南が逆転される条件は揃っている。甲府の猛攻に耐えて、落とされないようにするのが精一杯と、スタンドで考えていた。

 が、そうならなかった。理由は、やはり、ディフェンスラインの不安定さ。湘南も変なミスは犯していたが、負けず劣らず、甲府もミスを犯していたようだ。35分ぐらいまで甲府のペースで進んでいたものが、何時の間にか、湘南がペースを握って甲府ゴールを攻め立てていた。そして、湘南サポーターにとって歓喜の瞬間が訪れる。手許の時計で45+2分、右サイドをアジエルと臼井のコンビネーションで抜け、中央にクロスを入れる。混戦状態だったので誰がどうシュートを打ったのかが分からなかったが、湘南の色々な選手がシュートを打つものの、甲府のブロックに会ってゴールに至らない。その中、こぼれ球が坂本紘司の前へ来る。それを左足でゴールに押し込んだ。…だと思っていたが、ダイジェスト映像を見ると、アジエルのFKから甲府のゴールキーパーを含めた競り合いがあり、ボールがゴールバーに当たり、それが坂本紘司に渡って左足で冷静に押し込んでいた。何にしても、これで湘南が勝ち越した。その後、3分ほどあったロスタイムが過ぎ、タイムアップ。2‐3で湘南が、劇的な勝利を収めた。

 お互いが昇格を賭けたゲームだったので、内容に関わらず、熱いゲームになることは容易に想像できた。審判まで熱くなったようで、都合9枚のイエローカード(甲府4枚、湘南5枚)が乱れ飛んだ。「内容に関わらず」の部分も、当たってしまった。甲府は主力を欠いて、湘南は昇格争いが初体験のディフェンダーが居て、“見えない敵”に動きを怪しくされていた。その中で湘南が勝利を収めたのは、より落ち着いていたのが湘南と言えよう。最後の差は、それだけだったと思う。しかし、ここで言っておかなければならないことがある。それは、「この勝利で何かを成し遂げたわけではない」と言うこと。もう、7月にそれを経験しているから分かっていると思うが、湘南はまだ何も成し遂げていない。甲府にもチャンスはあるし、湘南がそれを失うこともある。繰り返す。我々は、まだ、何も成し遂げていない。

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この記事へのコメント

HIRON
2009年11月23日 00:40
自分も甲府で見ていました。
確かにこの勝利は大きいのですが、
日記にもあるとおり、J1自力昇格
の望みが出てきただけですよね。
「勝って兜の緒を締めよ」の格言が
思い出されます。

若手の守備陣がこのところばたばた
しているのはやはり経験のなさから
でしょうか。

2009年11月23日 12:08
HIRONさん、コメントを頂きまして有難う御座います。

タイトルは、選手や監督・スタッフへ向けて、と言うよりは、自戒の念と言う感じです。7月12日のセレッソ戦後、変に浮かれて変なことになったので(苦笑)。

若手の守備陣については、一応、「知らないこと」が原因ではないかと思っていますが、まあ、「知らないこと」は仕方ないですから、「それもサッカー」と言うことで受け入れていこうと思っています。

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