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<<   作成日時 : 2007/12/27 23:20   >>

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 シアトル・マリナーズのイチロー外野手と福岡ソフトバンクホークスの川崎宗則内野手が、オリックスの室内練習場である『青濤館』で合同練習を行った。その時に、イチロー外野手が川崎内野手に『一塁へのヘッドスライディング』について説教をしたと言う。小見出しに付属した記事だと「カッコ悪い」の一言にされてしまうが、実際は「怪我のリスクが増える割に一塁へ早く到達できる根拠が無いから、するな」と言う理由で説教をしたようだ。

 さて、そう言う走塁面でも高いレベルで実行できるイチロー外野手だが、守備面でも高いレベルで実行できる選手。2001年から2007年までの7シーズン連続でゴールドグラブ賞を受賞した。意外と、まとまった記録が無いから分からないが、今年、アメリカン・リーグの捕手部門で受賞したイワン・ロドリゲス捕手が13度目の受賞、ウィキペディアに載っていた一覧で目に留まったケン・グリフィー・ジュニア外野手が8年連続、何処かの質問サイトでの答えにあったブルックス・ロビンソン三塁手が16年連続、その名前を調べたウィキペディアに受賞回数16回で挙げられていたジム・カート投手、グレッグ・マダックス投手など、“上には上”が居る様だ。それでも、新人のシーズンからとなるこの記録は、多分、凄いものなのだと思う。

 …と、今更、こんな事を例示しなくても、彼の素晴らしさは周知の事実であろう。それよりも、これらを調べていて見つけたブログに面白い事が書かれていた。スポーツ報知の蛭間豊章(ひるま・とよあき)記者の書く『Baseball Inside』と言うブログである。この2007年11月12日付の記事に『物足りなかったイチローの守備機会(第365回)』があった。あのイチロー外野手に対して「物足りない」と言う表現を使っているので、とても強く惹かれた。内容を見てみると、今季から完全に中堅(センター・フィルダー)として出場したイチロー外野手の『刺殺』の数に言及したものだった。

 今季のイチロー外野手の刺殺数(主に、フライやライナーを捕った数)は424。補殺(送球によって走者や打者走者をアウトにした数、外野手の場合、本塁や三塁で走者を刺す事で記録される事が多い)が8。失策は、記事によると9月12日の対オークランド・アスレッチクス戦で左翼ラウル・イバネス外野手が取ると思い込んで慌ててグラブを出して弾いてしまった時に記録された、1つ。補殺と失策、そして、守備率はどうでも良いのだが、この刺殺数424と言う数字に驚いた(勿論、補殺と失策、そして、守備率も驚くべきほどの好成績であるが…)。「日本だったら、200台の中盤から後半の数字を残せば、トップのはずなのに…」と思っていたからだ。

 脆弱ながらも、日本野球機構オフィシャルサイトに守備成績が載っている(12月にベースボールマガジン社から刊行された『ベースボールレコードブック』、『2007プロ野球総決算 新プロ野球伝説』にも載っている)。それを見ると、セントラル・リーグのトップがアーロン・ガイエル外野手の274(142試合出場)、パシフィック・リーグのトップが北海道日本ハムファイターズの森本稀哲外野手の342(143試合出場)。個人的な感覚では、この森本外野手の342刺殺と言う数字が恐ろしい数字に見える。勿論、日本でも“上には上”が居る。日本記録は、青田昇外野手の391(1948年、読売ジャイアンツ、自身の選手としての出場は140試合)。パシフィック・リーグ記録は、広瀬叔功(ひろせ・よしのり)の353(1963年、南海ホークス、149試合)。セントラル・リーグ記録は、中利夫外野手の350(1963年、中日ドラゴンズ、136試合)。あまり話題になっていなかったと思うが、森本外野手はあと少しでパ・リーグ記録と言うところまで来ていた様だ。まあ、それなりに差は大きいけど(笑)。何にせよ、最近の記録では刺殺数が300を超えるのは珍しい。ところが、アメリカメジャーリーグでは、試合数の違いはあれど、毎年の様に400を超える記録が達成されている。こんなところにも大きな違いを感じてしまった。

 さて、蛭間記者がイチロー外野手に期待したのは、『500刺殺』。アメリカメジャーリーグでも、過去に8度しか記録されていない。いずれも、1960年より昔に…と言いたいのだが、1977年と1980年に記録されたものがあった。しかし、最近でも1980年の記録になる訳だから、上の日本の記録と同様に『昔の偉人の残した記録』とは言えよう。そう言えば、イチロー外野手がシーズン最多安打を記録した時も、ジョージ・シスラー一塁手が257安打を記録した1920年が対象となった。彼は、メジャーリーグの伝説とも言える昔の記録と比較されてしまう様だ。本当に余計なお世話だが、「大変な話だな」と思う。

 「こんな風に感心しました」でも良いのだが、もう1つ、感心してしまった事。蛭間記者の面白いバロメーターである。彼は、打たれた三塁打の数でも外野守備の巧拙を判断する、と言う。二塁打の場合は打球方向により阻止するのが難しくなるが、三塁打の場合は外野手の機敏な動きと肩の強さ、それに、内野との連係の程度の高さにより阻止する事が可能となる(阻止の仕方は、三塁封殺と二塁打に抑止する事の2つ)。記録はチームででしか出ないが、過去3シーズンのシアトル・マリナーズの被三塁打数は20‐22‐23。ところが、今季は34。これは、イチロー外野手への物足りなさと言うよりは、両翼の問題としているが、実に面白い指標だと思った。

 それこそ、まとまっている記録が無い為、かなり苦労したが、今季の日本プロ野球12球団の被三塁打数を調べてみた。意外だったのは、中日ドラゴンズ。ホーム、ビジターの区別をしなかったが、合計で28本の三塁打を打たれている。これが、セ・リーグのワースト。パ・リーグのワーストは、球団史上初の最下位脱出を遂げた東北楽天ゴールデンイーグルスの38本。少ない方で特筆されるのが、福岡ソフトバンクホークスの7本。広いと言われるヤフードームでこの数字だから、かなりのものだと思う。まあ、主に守っていたのが、多村仁、大村直之、柴原洋の3人で、3人とも刺殺数が200を超えている(223、203、210)。あと、何となくの印象しか残っていないが、北海道日本ハムファイターズの外野も優秀なのだと思う。打たれた三塁打は14本だが、交流戦で1本も打たれていないのと、東北楽天の山崎武司の1本を除いては全て、俊足巧打と言われる打者によるもの。あの外野守備陣の間を突いて三塁まで行くには、相当の走塁能力を持っていないと駄目だ、と言えそうだ。

 これが全てとは言わないし、野球の守備についての評価の仕方は多種多様であろう。結果として点を取られていない事を主眼に置くか、先の塁を奪わせない事を主眼に置くかで変わって来るし、“見せ物”だから華麗に見える守備はやはり上手いと言ったり、本当に上手い人は取る瞬間に『楽に捕っている様に見えるものだ』と言ったりする。ただ、数字を出してみると、意外な面、順当な面が見えてくる。とりあえず、三塁打に注目した人はあまり居なかったと思うので、話題に取り上げてみた。

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