逆王手

 日本シリーズの第6戦で、読売ジャイアンツが東北楽天ゴールデンイーグルスを負かして3勝3敗のイーブンに持ち込んだ。とあるテレビ局の実況アナウンサーが、この状態を「逆王手」と比喩したらしい。それに対して、ツイッター上で「逆王手は変じゃない?」と言う声が玄人・素人を問わずに上がっていた。古い人間である私は、「逆王手」に違和感を覚えず、「最近の若い人は変わっているのね」と思っていた。しかし、「逆王手とは、王手を解消すると同時に相手に王手をかける手である」との説明を見て、「確かに、それでは『逆王手』は相応しくない」と、とても感心した。ところが、どの人もそこで止まっているのに不満を持った。

 まず、王手の定義を考えてみよう。Wikipediaにある説明をまとめると、「王手とは、交互に手を打ち合うボードゲームで、ルール上、取られてはならない相手の駒に対して自分の駒を利かせる指し手のことを言う」になる。そして、「王手をされた側はその状態から抜けださなければならない」も入れなければならない。それが出来なければ、負けになるからである。私は、この「王手をされた側はその状態から抜けださなければならない」を強く気にしている。上の「逆王手」にも、「王手を解消する」が入る。つまり、「逆」を除いた「王手」も、その要素に「解消される可能性がある」が入らなければならない。日本シリーズの3勝は、相手が3勝しても無くなることはない。つまり、先に3勝しようが、後に3勝しようが、その3勝は解消されないので、そのことを「王手」と表現すること自体が誤りなのである。更に、前提に戻るのなら、4戦先勝のゲームは「交互に手を打ち合うゲーム」ではない。ゲームの前提が異なるので、そもそも、「あと1勝」の状態を「王手」とは呼べない。

 ……と、こんな感じかね。別に、言っていた人たちが「王手の比喩表現は良いが、逆王手のそれは悪い」と言っていたわけではないけれど、私にはその様に見えてならない。その人達が違和感を持った事自体に強く感心しただけに、その“不足”が不満でならない。結局、言葉の定義を何も考えておらず、感情による反射的反応に過ぎないのではないか、と。それは抜きにして、良い勉強の機会になった。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック