余裕の有無と監督の意思:日本対アルゼンチン@埼玉スタジアム2002(テレビ観戦)

 埼玉スタジアム2002で行われたキリンチャレンジカップ2010、日本代表対アルゼンチン代表の試合をテレビで観戦した。その感想みたいなもの。

 日本代表の先発は、GK川島永嗣、DF内田篤人、栗原勇蔵、今野泰幸、長友佑都、MF長谷部誠、遠藤保仁、岡崎慎司、本田圭佑、香川真司、FW森本貴幸。アルゼンチンの先発は、GKセルヒオ・ロメロ、DFガブリエル・エインセ、ガブリエル・ミリート、マルティン・デミチェリス、ニコラス・ブルディッソ、MFエステバン・カンビアッソ、アンドレス・ダレッサンドロ、ハビエル・マスチェラーノ、FWディエゴ・ミリート、カルロス・テベス、リオネル・メッシ。控えは、数が多いので省略する。日本は4‐2‐3‐1、アルゼンチンは4‐1‐2‐3。

 試合の立ち上がりに、アルゼンチンが猛然とプレスを掛けてきた。日本のバックラインが緩いパス回しをしたのが理由ではあるが、それにしても異常なまでの勢いだった。事なきを得たから言えることでもあるのだが、私はこれを見て「アルゼンチンは余裕がないのかもしれない」と考えていた。ヨーロッパや南米から長い距離を移動してきた時差ぼけや、監督が暫定であると言うチームの事情もあったのかもしれない。何にしても、その余裕のなさがアルゼンチンの攻撃から連動性を奪い、日本の守備が持ちこたえたと言えよう。勿論、ゴールを割られなかったのは運の良さもある。

 洋の東西を問わず、サッカーにおいて「押している時間帯」にゴールが挙げられないと、相手に流れが行き、失点してしまう。前半19分、右サイドから岡崎がクロスを入れ、本田圭がトラップしてシュートしようとする。しかし、これはブロックに遭い、ボールがこぼれる。それを後ろから走りこんできた長谷部が強烈なミドルシュートを放つ。これはキーパーにセーブされるが、ゴール前に詰めてきた岡崎がこぼれ球を押し込んだ。強烈なミドルシュートを枠に収めた長谷部の技術、ゴール前に詰めてきた岡崎の嗅覚。ゴールの場面は、本当に見事なものだった。

 私は、日本のゴールでアルゼンチンがどの様に変わるのかに注目した。押していたのにゴールが奪えず、逆にゴールを奪われる。サッカーの試合では良く起こる事だが、強いチームはその様な状況でも気持ちを落とすことなく試合を続ける。アルゼンチンは強いチームだから、それが見られると密かに期待し、また、日本がそれに対してどの様な態度を見せるのかが楽しみでもあった。しかし、アルゼンチンの攻撃は連動性を欠き続け、数多く見せられる個人技は素晴らしいのだが、それがゴールに結び付いていかない。日本の守備に余裕があったとは思わないが、心の何処かに「押し切られない」と言う気持ちはあったのではないかと思う。前半は、1‐0で終える。

 アルゼンチンは、前半の内に気持ちの修正が出来なかった。流石に、ハーフタイムがあれば、それが出来るだろうと私は踏んだ。しかし、その期待は見事に裏切られた。怪我人が続出した事も影響しているであろうが、基本的に攻撃が個人技の積み重ねになっていた。持っている個人技のレベルが異なるので、試合自体はアルゼンチンが押し、日本が押される状態が続く。疲れてきたとき、セットプレーで試合が止まったときなどに集中力が途切れたら失点すると思ったが、それ以外では失点する気にならなかった。その様に言うと強気すぎるが、アルゼンチンの攻撃に連動性が出ない限り、日本は失点をしないだろうとは思っていた。そして、その連動性は最後まで見られず、試合終了。1‐0で日本が勝利を収めた。

 アルベルト・ザッケローニ監督は、攻撃の時に「縦の意識」を選手に伝えたと言う。それは、十分に感じられた。少なくとも、「何で、前に行かないの」と思う場面は少なかった。また、ボールの奪い方も個人+組織でキチンと奪えていたと思う。面白かったのは、ボールを持っているときは4‐2‐3‐1、ボールを持っていないときは4‐2‐2‐2気味になっていたこと。これは、ボールを持ったら自由に動いてよいが、ボールを持っていないときはサイドと中央でバランスを取れ、と言う事だったのかもしれない。この辺も、“宣言通り”と言える。まだ1試合だけだが、監督の“意思”は十分に感じられた。そう言う意味で、面白い試合だった。

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