前に進むための有難い試練:湘南対山形@平塚(J1第1節、3月6日)

 3月6日に平塚競技場で行われたJ1リーグ公式戦第1節、湘南ベルマーレ対モンテディオ山形の試合を見に行ってきた。嗚呼、書き出しが「J1リーグ公式戦」となっている。実に、深い感慨を覚える。そう言う興奮を抑えつつ…。

 湘南のスタメンは、GK野澤洋輔、DF阪田章裕、ジャーン、村松大輔、島村毅、MF永田亮太、寺川能人、坂本紘司、FW馬場賢治、田原豊、新居辰基。ベンチは、GK伊藤友彦、DF山口貴弘、MF猪狩佑貴、古林将太、FW阿部吉朗、中村祐也、中山元気。おお、ここにもJ1を感じる…と言いたいが、今季からJ2もベンチ入りは7人なので単に今季からの変更に過ぎない。落ち着いて話を進める。

 怪我人続出と報じられた湘南ベルマーレ。臼井幸平のところには阪田章裕、田村雄三のところには永田亮太、そして、アジエルのところには馬場賢治が入った。私は田子千尋氏のアナウンスでスタメンを知ったので、野澤洋輔の次に阪田章裕がコールされて、とても驚いた。そして、馬場賢治も驚いた。頭の中では、右サイドバックに島村毅、左サイドバックに山口貴弘、そして、右ウイングに新居辰基、左ウイングに阿部吉朗を配するのではないかと考えていたから。

 さて、試合の内容。湘南は、前半の立ち上がりから人が動いてボールを動かし、そして、ゴールに近付いてシュートを撃つことを繰り返した。山形は、アウェーゲームと言うことで少し受ける形で立ち上がった。ただ、試合後のインタビューで小林伸二監督も言っていたように、「受けすぎ」ではあった。そう言う事で、序盤からペースは湘南が握った。雨の中、ボールは上手く扱えないし、パスも微妙にずれる。それでも、お構いなしに湘南の選手はボールをつないでいく。仕掛ける姿勢とそれを続けて繰り返す態度は、今季になっても変わらなかった。それでも、自陣で不用意なファールをして山形にフリーキックが与えられると、山形にも勢いが出て一進一退になった。

 この試合の最初の得点は、前半19分に生まれた。コーナーキックから、こぼれた球を新居辰基が拾い、トラップミスのような形で坂本紘司にパスが出る。それを坂本紘司がシュートする。これは相手GKに弾かれるが、そのこぼれ球がジャーンの前にこぼれた。ジャーンがそれを押し込んで、湘南が先制した。…と言うのは、テレビ画面を見て確認出来たもの。現地(8ゲート)では、湘南の選手がシュートしたけど弾かれて、それが再び山形のゴールの方に向かって、最後は山形の選手がゴールの中にスライディングしていった、しか見えなかった。ほかの人も同じだったようで、湘南の選手が喜んで、田子千尋氏がゴールのアナウンスをしてから喜んだ。記念すべきJ1復帰の最初の得点が、意外と拍子抜けになってしまった。まあ、そう言うこともある。何にしても、嬉しい得点である。

 この得点の後でも、湘南は姿勢を変えることがなかったと思う。だから、一進一退の状態が続いたのだと思う。それでも、山形が新しいメンバーでの本番の試合に慣れてきたのか、徐々にサイドから湘南の守備を崩していった。そして、前半40分に山形の同点弾が生まれた。コーナーキックのこぼれ球を左サイドへ上手く抜けていった古橋達弥(9番)がクロスを上げる。野澤洋輔が、それをクリアしようとパンチングした。しかし、ボールがゴール前に居た田原豊に当たってゴールに転がっていった。ゴール裏からは何が起こったのかが分からなかったが、ボールが湘南ゴールへ吸い込まれたのだけは分かった。これをマスメディアは「不運な失点」と言うが、山形が「雨の中では何が起こるか分からない」を信じてサイドの深いところからクロスを上げ続けたことによる“山形の得点”だと思う。改めて、サッカーの怖さを教えてくれる失点だったと思う。前半は、1‐1で終える。

 後半も、立ち上がりは湘南がペースを握る。条件は悪くとも、人が動き、ボールを動かし、パスをつないでゴールに近付いてシュートを撃とうとする。山形は、それを受ける。その状態が長く続いてくれれば湘南が追加点を挙げられたかもしれないが、山形がそれを長くはしなかった。しかし、山形も新加入の田代有三(10番)を持て余していたようで、ボールを奪ったあとの動きに工夫はなかった。単純にロングボールで彼に当ててくることもなかったし、それをされてもジャーンと村松大輔が上手く対処していたと思う。結局、田代有三は後半27分に北村智隆(11番)と代えられてしまう。北村智隆がどの様なタイプの選手なのかを知らないが、恐らく、ポストプレーヤーを長谷川悠(15番)1人にしたのだと思う。その後、前半にも見られたサイド攻撃が活性化され、終了間際には右サイドからのクロスにヘディングで合わせたシュートが僅かにそれるものもあった。結局、1‐1で試合終了。引き分けに終わった。

 引き分けと言う結果は、評価が分かれるところだと思う。先制して、オウンゴールで追い付かれた。このことから「勿体ない」と思う人も居るだろう。でも、私は「前に進むための有難い試練」と受け止めている。あのオウンゴールは、決して、不運なものではない。理想を言ってしまえば、「あそこまで押される前に押し返しておけ」となるが、現状を考えるとそれも仕方のないこと。そこで、「また前に向かって進めば良いのさ」と選手たちが気持ちを切り替えて、意志を落とすことなく、相手ゴールに向かっていった。昨年、体感した「ダメでも繰り返す」、「やられたらやり返す」を思い出させてくれたのが、このオウンゴールだと思う。仮に1‐0で勝っていたら、それなりに勢いは出ていたと思う。でも、勢いだけでJ1を生き抜けるとは思えない。反町康治監督の目指すサッカーは、どのレベルでも通用するものだと思う。勝利を得るために、続け、繰り返す。それを忘れて勝ってしまうより、引き分けの方が良かったと言える。湘南ベルマーレの行なってきたことは、正しい方向にある。ただ、それは簡単には出来ない。それを意識させてもらえた良い試合だったと思う。


【補足の蛇足】
 端折る形になったが、湘南、山形とも、後半は良いサッカーをしていたと思う。オウンゴールになってしまった田原豊はJ1でも規格外のパワーを見せて、途中出場の阿部吉朗と中村祐也は「感じあう」形で山形ゴールに向かった。山形も、ビッグチャンスは右サイドからとなったが、左サイドの石川竜也からの良いクロスボールでチャンスを作っていた。お互いに、「我々の見せられるものはこれです」と言って、それを同じ程度で見せ続けた。だから、引き分けになったとも思う。

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この記事へのコメント

HIRON
2010年03月07日 08:25
昨日は雨の中の試合となりましたね。
足元が滑るようで選手も大変そうでした。

田代、長谷川の高い2トップを警戒して
いましたが、まだよく合ってない様で
特に田代は確かに宝の持ち腐れ的な
感じがしました。

攻め続ける、がベルマーレのスタイルですが、
昨日のゲームはそれができていたので、私も
引き分けは残念だったけど、あれでよかった
のかなと思っています。

むしろケガ人続出のけしてベストメンバー
ではない中で、何とか形になったのは
大きな収穫かなと思います。

山形が長谷川の1トップになってから、
サイドをえぐられ始めましたね。
特に左サイドは昨年からの課題でも
あるので、小沢あたりが早く出れるように
なると、また違ってくるかもしれません。

勝利の美酒はお預けですが、
今週の日産スタジアムもベルマーレ
らしい戦いをして欲しいです。

選手入場で「ベルマーレビッグウェーブ」
の音楽が流れてきたときはグッと来ました。
涙が出てしまいました。
2010年03月07日 10:25
HIRONさん、丁寧なコメントを頂きまして有難う御座います。

左サイドの守備は、サイドバックだけの問題ではなく、布陣と攻め方も絡んでくると思います。アンカーを1人しか置かない布陣は、昨年の反町監督も言っていたように、ピッチの幅68メートルを1人で守ることになります。そこにサイドバックも絡んでいくことになれば、本来のサイドの領域も空きやすくなります。また、攻める時に人数を掛けることを選択しているので、カウンターを受けたときに逆サイドが空きやすいこと、それに付随してサイドが空きやすいのは仕方のないことだと思います。湘南の攻めが相手にとって「抑えるのがやっとだ」と思われれば、この辺の危険の回数は減り、試合も安定してくると思います。

…と言いたいのですが、単純にサイドバックを務める選手の経験が乏しく、素人が見ても「あれ?」と言う場面もありますね(笑)。選手入場の「ベルマーレビッグウェーブ」の音楽を聴いた時は「これも元ネタがあるんだ」と驚いていました。私も、あれには涙しました。

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