「推定する」と「みなす」

 珍しく、芸能人の話題を導入に使ってみる。人気お笑いコンビ、爆笑問題の田中裕二さんの元妻の女性が、出産間近だと言う。発信源は「女性自身」で、ウェブ上では「スポーツ報知」がこれを報じているのを私は見た。私は、「女性自身」の記事は見ていないが、スポーツ報知のウェブ記事を見て「もしかして、間違えているのではないか」と思った。この「間違い」は、事実関係じゃなくて法律の話。

 ウェブ記事には、「同誌によると、元妻は臨月を迎えているという。田中との間に出来た子供ではないが、民法では離婚後300日以内に生まれた子は『前夫の子』とみなすため、生まれてくる子供は法律上、田中の子供になる」とある。これを見て、「『みなす』ではなく『推定する』では」と思って、ネットで確認した。これに関する規定は、民法772条にある。そこには「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」とあり、更に同条の2で「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と定めている。これを受けての記事だと思うが、案の定、「推定する」と「みなす」を間違えていた。

 法律上、「推定する」と「みなす」は異なる。私も記憶に自信がなかったので、ネット上でその違いを確認しなおした。世の中にマメな人はいるもので、とても参考になるページがあった。そこに挙げられていたものを例として使ってみる。「推定する」の例は、正に、この民法772条。この規定は、お父さんとなる夫と婚姻中にある妻が懐胎した子が、「夫の子」と「推定される」と言うもの。普通に考えれば、「それはお父さん=夫=の子になるでしょ」と思うのだが、法律はその様に考えない。あくまでも、その可能性が高いので「推定する」と言う。「推定する」とは反証を許すもので、民法774条より夫が「それは俺の子じゃないから嫡出子として認めない」とすることも可能である。

 「みなす」の例は、民法886条。これは相続に関する胎児の権利能力についての規定で、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」となっている。これは、民法の権利能力の規定に「私権の享有は、出生に始まる」(民法3条)とあるのに関係してくる。この考え方に従うと、お腹の中に居る赤ん坊=胎児は、出生していないのだから私権を享有していないとなり、私権の一つである相続権も有していないことになる。それを「既に生まれたもの」と「みなす」ことによって、胎児にも相続権を認める。それが、この規定である。この「みなす」は、反証により覆ることがない。死んで生まれてしまったら同条2項により適用されなくなるが、それ以外では何があっても「既に生まれたもの」として扱われる。

 このように、『反証の余地の有無』が「みなす」と「推定する」の違いである。一般生活では大したことがないのかもしれないが、法律では大きな違いがある。ただ、裁判員制度も始まったことだから、その辺の意識は持っても罰は当たらないと思う。それにしても、2010年3月が臨月で、離婚したのが2009年10月。何が理由で離婚したのか分からないし、知りたいとも思わないが、離婚調停をしているときに元妻が懐妊していたことになるのを考えると、色々と“悪いこと”が頭を駆け巡る。まあ、私の頭の中を駆け巡らせるだけにしておくけど(笑)。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック