サッカー“聴”戦

 国立競技場で行われた全日本サッカー選手権大会(天皇杯)の決勝戦をテレビで観戦した。鹿島アントラーズが2‐0サンフレッチェ広島を下した。これで、リーグ制覇についで国内二冠目を手にした。この試合、NHKの画面を見ながら、文化放送を聴いていた。理由は、湯浅健二氏が解説をするから。

 この観戦の仕方は、以前もした事があるかもしれない。ただ、今年は、何時もコラムを読んでとても勉強になっているので放送での氏の発言がどの様なものになるのか、に興味を持って聴いてみた。当たり前だが、氏の良く使う「悪魔のサイクル」、「サッカーは心理ゲーム」と言うワードが出てきて、「普通の人(=氏のコラムや著作を読んでいない人)には、ちょっと分かり難いかな?」と思いながらも、氏のコラムや著作物を読んでいる私にはとても楽しい内容の中継であった。その氏の発言で気になったのが、「我慢」と言う言葉であった。

 この試合は、下馬評どおりに、鹿島が広島を押し込む展開になった。更に、鹿島が右サイドバックの内田篤人のゴールで早い時間帯に先制もした。この時に、「広島は、守備ブロックを崩さず、『蜂の一刺し』の様にカウンターを狙うべき」と言っていた。実際、広島の天皇杯でのやり方は、守備ブロックを自らの手で崩す事無く、決して多いとは言えない攻撃機会を得点につなげていた。「ここで、広島が本当にこの試合を勝ちたいと思うのなら、その形を崩す事無く、我慢してこれまでやってきたサッカーを転訛した方が良い」と言う様な事を、氏は言っていた。この後、広島よりの解説をしてしまった訳だが、この様な見方は実に面白いなと思ってしまった。

 プロ野球の解説者に多いと思われるが、一つの場面が過ぎてから「この様にするべきでした」と言う人が多い。ところが、湯浅氏は、自身もプロコーチであるからか、「今のチーム情況を良い方向へと持っていくのに必要な事は何か」を主眼に解説をしていた。結果として、それが広島よりの解説となってしまったのだが、鹿島についても、「1点を取った後には悪い意味でゲームを落ち着かせてしまう、『悪魔のサイクル』に陥る可能性がある」とも言っていたから、両チームにとって「今、何をなすべきなのか」を主眼にしていたのは間違いない。少なくとも、「ああするべきでしたね」とか「ここは決めないと」と言う発言は無かった。氏には、「サッカーは、比較的、鈍い足でする競技」と言うのがあって、「上手くいかないことは多い」し、「突然、状況が変わる事もある」と考えている。だから、結果の良し悪しではなく、過程や意識の良し悪しを解説の基準にしている。文章だけではなく、放送の解説でもそれが出ていた。まあ、人間はそう変われるものではないから、当たり前と言えば当たり前なのだが…。

 文化放送も、意外な人選をしてくる。まあ、氏が天皇杯の決勝戦の解説をするのは“恒例”となっている様だが…。それはさておき、久し振りに面白いサッカー中継が見られた。そんな事に満足している、サッカー“聴”戦だった。

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